アルコレ戦役 29:ヴォーボワ師団のリヴォリでの敗北
Battle of Arcole 29
カルディエーロの戦い、アルコレの戦い
勢力 | 戦力 | 損害 |
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フランス共和国 | カルディエーロの戦い:約13,000人 アルコレの戦い:約19,000人 |
カルディエーロの戦い:死傷者と捕虜の合計約1,800人、大砲2門 アルコレの戦い:死傷者約3,300人、捕虜約1,200人 |
オーストリア | カルディエーロの戦い:12,000人~16,000人 アルコレの戦い:約22,000人 |
カルディエーロの戦い:死傷者と捕虜の合計1,243人 アルコレの戦い:死傷者約2,070人、捕虜約4,144人、大砲11門 |
ダヴィドウィッチ師団の侵攻とフランス軍の配置
1796年11月17日、遂にダヴィドウィッチ師団の列がリヴォリを征服すべくバルド山を行進した。
オクスカイは右翼のヴァイデンフェルト大佐にカプリーノ(Caprina)峡谷を右に進み、大隊でフランス軍の左翼である第85半旅団を攻撃するよう命じた。
オクスカイ率いる中央の役割はビカソヴィッチ旅団がアディジェ渓谷から戦場に到達するまでフランス軍を相手に時間を稼ぐことだった。
◎戦いの始まり
オクスカイとヴァイデンフェルトの先頭が山から下りた時、ビカソヴィッチはインカナーレの道を進んでいた。
ダヴィドウィッチの進軍が遅れたため、ヴォーボワはリヴォリ周辺の防御を強化し配置も変更していた。
ヴォーボワの命令によって掘られた塹壕は、岩山の鋭いエッジの後ろに階段とラックのシステムを形成していた。
塹壕は3つの塹壕が組み合わされてできており、1つ目の塹壕はフェラーラの南西約9㎞の所に作られていた。
後の2つはアディジェ渓谷を通過するオーストリア軍を攻撃するために渓谷に沿ってS字カーブを形成し、その長さは2,000mにも及んだ。
インカナーレの前にある渓谷はインカナーレ村とフェラーラからペスキエーラへの道を結ぶ小道を上ったところ(恐らくオステリアの右辺り)にある3つの砲台で守られていた。
師団の両翼はこの渓谷の側面を強固に防衛し、中央の両翼は渓谷を包み込んだ。
ポールの舟橋は小さな橋頭保によって守られていた。
最後にオステリア(Osteria)とリヴォリの間で、退却する場合の砲兵の位置が確認されて示された。
ヴォーボワ師団の弱点
ビカソヴィッチ旅団がインカナーレへの道を進んでいるとき、右翼のヴァイデンフェルト旅団と中央のオクスカイ旅団はすでに戦闘を始めており、右翼は着実に前進していた。
ビカソヴィッチは朝6時に最初の塹壕を攻撃し、第17半旅団は強力に防御したが最初の2列が敗北した。
しかしビカソヴィッチの前進は砲台からの砲撃によって3列目の前で止められた。
そのためビカソヴィッチは連隊の一部を分離して分遣隊を形成し、側面を覆っている通行不能だと思われる岩山を登った。
分遣隊は第17半旅団の後方に出て、2門の大砲が配備されている砲台に突撃した。
同時にドルチェ近くのアディジェ川左岸に配備されていたロイス将軍の砲台が火を噴き、フランス軍の陣地に大きな打撃を与えた。
◎ヴォーボワ師団必死の抵抗と弱点の露呈
ジュベールが第17半旅団の元に駆け付け、それによってデスタン(Destaing)将軍は第4軽歩兵半旅団所属の2個大隊の先頭に立ち、銃剣でオクスカイ旅団に接近し、これを打ち倒した。
この攻撃はオクスカイ旅団を一時的に躊躇させた。
ジュベールはこの躊躇により得られた時間を利用して第17半旅団を倍のペースで前進させ、デスタンはオクスカイ旅団を予備であるスポーク旅団の後ろにまで追跡し、オクスカイはそこで部隊を集結させた。
このデスタンの攻撃により約500人が捕虜となった。
ヴァイデンフェルト大佐は正面と左側面の2ヵ所から攻撃され分断される危険性を考慮して退却を急いだ。
ジュベールは第17、第4、第85半旅団全体が出撃してオーストリア軍を追跡することを期待していた。
しかしヴァレッテはまだ知らない半旅団に自信が無く、大隊を前進させることに満足した。
この大隊が平野に進むことは無かった。
この状況により中央と右翼で得られた成果は失われ、ジュベールは塹壕に戻りヴァレッテにブッソレンゴから第27半旅団を呼び寄せるよう勧めた。
これはダヴィドウィッチ師団の再攻勢に対して2個半旅団で対抗できるようにするためだった。
ダヴィドウィッチの再攻勢とヴァレッテ旅団の敗北
ダヴィドウィッチは侵攻開始時と同じ順序で再度攻勢をかけてきた。
違うところはフランス軍の弱点である左翼側に攻撃の重点を置いたことだった。
恐らく、最初の攻勢でフランス軍左翼の動きが鈍いことを察知したのだろうと考えられる。
第17半旅団はビカソヴィッチを待ち、塹壕に追いやった。
第4半旅団は銃剣でオーストリア軍を攻撃し、彼らを倒した。
第85半旅団に関しては動かないままだった。
そのため追跡していた第17、第4半旅団は側面を衝かれることを恐れて元の位置に戻った。
デスタンは峡谷と道が成す角度で大隊を残した。
デドウィッチ(Dedowich)大佐は残された大隊を追い払うために3個騎兵中隊で出発した。
しかし前方を砲撃されたことにより、残された大隊とデドウィッチを隔てている峡谷の近くで立ち止まった。
右翼と中央の成功の間、左翼はヴァイデンフェルトに激しく攻撃され徐々に後ろに下がり始めた。
右脇腹の岩の間に移動することに成功したオーストリアの散兵は多くの人を殺害した。
ヴァレッテはかなりの力で前方を圧迫され、側面を心配し、第85半旅団に無秩序が忍び寄るのを見て、何度か兵士たちを戦闘に戻そうとしたが成功しなかった。
ヴァレッテの退却は第17半旅団の左側面を晒し、第17半旅団は正面と側面から順番に攻撃された。
◎ヴァレッテ旅団の敗北
デスタンはすぐに峡谷の角度で配置した大隊を戻し、オーストリア軍の騎兵突撃を射撃と砲撃ではね返した。
その直後、3回目の攻撃が始まったがデスタンは揺るぐことなく戦い続けた。
しかし第85半旅団の敗走は続き、ヴァレッテはアッフィ(Affi)まで丘から丘へと追跡された。
ヴォーボワ師団の敗北とダヴィドウィッチ師団によるリヴォリの占領
ジュベールはこれ以上戦闘を継続することは不可能だと考え、第4半旅団が勇敢にも抵抗を続けている間、リヴォリの堡塁を放棄して退却することを決断した。
デスタンは段階的に退却を始め、地形の凹凸を利用してオーストリア軍の追撃を封じ込めた。
ジュベールはブッソレンゴの第27半旅団が到着してヴァイデンフェルトの散兵によって追跡されているヴァレッテ旅団が再集結する手段と時間を与えることを望んでいた。
しかし第27半旅団は未だ現れず、第4半旅団は左側面をヴァイデンフェルト旅団に、正面をオクスカイ旅団に、右側面をビカソヴィッチ旅団に圧迫されることとなった。
◎ヴォーボワ師団のリヴォリでの敗北
ジュベールはこの3方向からの攻撃を見て、第17半旅団の退却を一時的に停止するよう命令し、第4半旅団に急いで、しかしゆっくりと機動しながら道路に後退させようとした。
しかしジュベールの命令は誤解されたのか、第4半旅団が後退することはなかった。
そのため第17半旅団はリヴォリの丘を放棄することができなかった。
そしてジュベールは第4半旅団が孤立したため後退命令を諦めざるを得なかった。
ブッソレンゴを出発したフィオレラ旅団が戦場に現れ始めたとき、第4半旅団は孤立しているにも関わらず、なおオーストリア軍の攻撃に勇敢に抵抗していた。
ダヴィドウィッチは第4半旅団とスポーク旅団との戦闘の現場から命令を出して第27半旅団に対して砲撃させ、第27半旅団に戦闘に入る時間を与えなかった。
ダヴィドウィッチは1個大隊と3個騎兵中隊に正面と側面を攻撃させ、第27半旅団を破壊し、一部を殺傷した。
これによりフィオレラはヴァレッテの救援に失敗し、この2人の将軍と孤立した第4半旅団の旅団長は捕虜となった。
ヴェローナへの主要道路が遮断されていた第4半旅団は銃剣で突破しリヴォリへの道を取り戻した。
後衛にいたジュベールは、後衛とともに逃げるのが最も困難な状況だった。
午後2時頃、ダヴィドウィッチの前衛が高所を占領し、ロイスがキウーサ砦に対して旅団と大砲を前進させたとき、フランス軍はようやくリヴォリを放棄し始め、ダヴィドウィッチは逃亡者をカンパラまで追跡した。
同時にダヴィドウィッチはアルヴィンチに第一報を送り、リヴォリで勝利したことを伝えた。
ダヴィドウィッチはすぐに1個連隊をキウーサ砦の反対側の右岸に送り、ヴォーボワ本体がリヴォリから撤退していくのを見たキウーサ砦守備隊は1時間半にわたる砲撃の後に降伏した。
この戦いでフランス軍の死傷者は約800人に上り、約1,200人が捕らえられ、大砲9門が鹵獲され、オーストリア軍の損害は、死者22人、負傷者224人、行方不明者225人、合計471人だったと言われている。
その後、暗くなり始めた頃、アルヴィンチはヴィチェンツァ方面への撤退を開始した。
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