アルコレ戦役 21:ヴァーゴでの戦闘
Battle of Arcole 21
カルディエーロの戦い、アルコレの戦い
勢力 | 戦力 | 損害 |
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フランス共和国 | カルディエーロの戦い:約13,000人 アルコレの戦い:約19,000人 |
カルディエーロの戦い:死傷者と捕虜の合計約1,800人、大砲2門 アルコレの戦い:死傷者約3,300人、捕虜約1,200人 |
オーストリア | カルディエーロの戦い:12,000人~16,000人 アルコレの戦い:約22,000人 |
カルディエーロの戦い:死傷者と捕虜の合計1,243人 アルコレの戦い:死傷者約2,070人、捕虜約4,144人、大砲11門 |
マッセナによるヴォーボワ師団の再配置
1796年11月10日、ヴォーボワは、キルメインがヴェローナから派遣した1個軽歩兵半旅団をコロナに送り、ジュベール少将とヴィニョール(Martin Vignolle)少将がコロナに配置されている部隊の指揮を執り、カスティリオーネの戦い前にイタリア方面軍から追放され復帰したヴァレッテ将軍が2,000人の兵士とともにトッリを防衛し、ギウ将軍はインカナーレを防衛し、ガルダンヌ将軍がコロナの予備としてパッゾン(Pazzon)に配置され、師団の残りはリヴォリにいることをマッセナに示した。
◎マッセナによるヴォーボワ師団の再配置と偵察部隊の派遣
マッセナは前線を視察し状況を調べ、ヴォーボワ将軍が示した通りに部隊が配置されていることを確認した。
しかし、部隊は分散し、明確な指示が無いままでいるのを見たマッセナはマッセナ師団をリヴォリに向けるようボナパルトに促した。
師団の到着を待っている間、マッセナはジュベールを強化し、ヴァレッテを800人の兵士とともにモンターニャ(Montagna)に送り、大隊長の指揮下で300人をプラトーネ(Pratone)に分離するよう命じた。
プラトーネはバルド山からガルダ湖まで伸びカステレットに下る渓谷に位置しており、数的に有利な敵部隊により攻撃されたときはバルド山に撤退し、より大きな力で攻撃されたときはモンターニャに撤退するように命じられていた。
ヴァレッテ旅団の残りの900人はプラトーネを越えて頻繁に哨戒を行うよう指示され、カステレット周辺の警戒に当たらせた。
ギウはアディジェ川の右岸と左岸を掃討する砲台を覆う任務を与えられ、さらに60人の兵士によって守られているキウーサ砦で監視し、プレアボッコの先を毎日偵察するよう勧められた。
マッセナはこれらを指示した後、ポールで舟橋を組み立て、左岸の道を遮断するよう命じた。
さらに副官のレイユとソルネット将軍に騎兵隊を与えアディジェ川を遡ってアラにまで偵察部隊を向かわせた。
しかしオーストリア軍の姿は見えなかった。
マッセナはこれらの報告を受けると、ダヴィドウィッチはブレシア方面に向かったか、もしくはフリウーリ軍との合流のために主力を移動させたのではないかと推測した。
そしてその推測をボナパルトに伝える際、もしそのどちらかである場合、コロナはその重要性を失い防衛のための兵力をそれほど必要としないことを指摘した。
ダヴィドウィッチ師団右翼の強化
11月10日朝、右翼ラウドン旅団の前哨部隊から本部に報告が届いた。
「多くのフランス軍船がガルダ湖で見られ、敵は北岸に上陸する恐れがあります。敵はベルガモ地域にもあり、イゼーオ湖を占領しており、おそらくチロル国境に対して行動を起こすでしょう。」との内容だった。
この報告はダヴィドウィッチに大きな懸念を抱かせた。
◎ダヴィドウィッチの懸念
もしフランス軍がイーゼオ湖周辺から出撃しラウドン旅団を打ち破りダヴィドウィッチ師団中央の側面や背後への迂回機動を行った場合、ダヴィドウィッチは大きな後退を余儀なくされてしまうと考えられた。
それによりフリウーリ軍との統合は延期もしくは不可能となり、延期された期間チロル軍とフリウーリ軍は孤立しフランス軍に各個撃破の機会を与えてしまう可能性がある。
そのためダヴィドウィッチはすぐにラウドン旅団を強化した。
さらにこの日、バルド山方面にてフランス軍から攻撃を受けたためヴォーボワ師団がマッセナ師団により強化されたという噂が確信に変わり、攻撃的な行動を停止して防備を固め、アルヴィンチとの統合を急いだ。
11月11日、オクスカイ将軍はアディジェ川右岸にあるアーヴィオ(Avio)を占領し、左翼側ではセウレン中佐がカンポシルヴァーノ(Camposilvano)に向かって進軍し、セウレン旅団の分遣隊はヴァルパンテナ(Valpantena)のグレッツァーナ(Grezzana)とレコアーロにあり、ミトロフスキー旅団との連絡線を維持した。
ナポレオンの決断とヴァーゴでの戦闘
11月11日、フリウーリ軍はヴィッラノーヴァに進軍した。
ホーエンツォレルンが威力偵察部隊を送るとフランス軍が街を飛び出した。
初めは単なる小競り合いだったが、午後3時頃、ボナパルトは遂にヴェローナ周辺の動員可能な約13,000人を動かしたのである。
この時ボナパルトは明確にフリウーリ軍を打ち砕くことを決断した。
フリウーリ軍の進軍は早かった。
そのためヴェローナのヌォーヴァ門前のオージュロー師団本体をロンコに移動させて兵力を分散させるわけにはいかなかったのだろう。
しかし12門の大砲はロンコにあり、雨でぬかるんだ地面のため思うように大砲を移動させることができないことが予想された。
ボナパルトは得意の大砲の支援がほとんどない戦いを挑むことを強いられたのである。
◎ヴァーゴでの戦闘(カルディエーロの戦いの前哨戦)
ヴァーゴ周辺にいるオーストリア軍はヴェローナ周辺にいるフランス軍と比べて少数のように見えること、ボナパルトとしてはあらゆる犠牲を払ってでもチロル軍とフリウーリ軍の完全な統合を防がなければならないことが戦うことを決断した理由だと考えられる。
この時、セウレン旅団の分遣隊がヴェローナから北に10㎞ほどしか離れていないグレッツァーナに迫っており、チロル軍とフリウーリ軍との統合は間近であることが予測できたことも決断の要因の1つだろう。
カステルヌォーヴォの前に宿営していたマッセナ師団はヴェローナを横断し、フリウーリ軍と戦うために前進した。
オージュロー師団も前進してサン・ミケーレとサン・マルティーノを一掃した。
圧倒的な数的劣勢な状況に陥ったホーエンツォレルンは撤退命令を下しヴァーゴ前の運河で防衛線を構築し、オージュローは運河までホーエンツォレルンを追跡した。
オージュローは幾度も攻撃を行い運河を渡るために石橋を占領しようとした。
しかし補強を受けたホーエンツォレルンにすべての攻撃を撃退された。
戦闘が終わった夜10時頃、ホーエンツォレルンはサン・ジャコモを保持していた。
マッセナはボナパルトに呼び出され、ヴェローナでマッセナ師団の指揮を再開した。
ヴァーゴでの戦闘におけるオーストリア軍の損失は士官4人と兵士400人だったと言われている。
カルディエーロの戦い<前夜>
フランス軍は撃退されたもののフリウーリ軍と対峙するように部隊を配置し、翌11月12日の朝に攻撃を仕掛けようと準備を行った。
対するオーストリア軍は、フランス軍がヴァーゴでの戦闘で示した余力、そしてヴァーゴとラヴァ―ニョ(Lavagno)の間に部隊を配置したことから、アルヴィンチはフランス軍は翌日に主導権を握るつもりであると判断し、夜の内にホーエンツォレルンを静かに撤退させ防衛しやすいカルディエーロに向かわせた。
◎カルディエーロの戦いにおけるフリウーリ軍の迎撃準備
アルヴィンチはフリウーリ軍をヴェローナの主要道路にまたがって8個大隊が最前線で戦列を形成し、2列目に騎兵を配置し、合計約8,000人で防衛線を構築した。
右翼をモンテ・ゾーヴォ(Monte Zovo)、中央をストラ(Stra)、左翼をカルディエーロに配置し、主要道路の右側に6個騎兵中隊、コロニョーラ(Colognola)の後ろに3個騎兵中隊、戦列の前の有利なポイントに16個の砲兵連隊を配置した。
モンテ・ロッカ(Monte Rocca)、モンテ・マティア(Monte Mathia)、モンテ・ゾーヴォ(Monte Zovo)の丘陵地帯に合計8門の大砲を設置し、ヴェローナへの道にも4ヵ所に砲台を設置し、2門づづ合計8門の大砲を配備した。
アルヴィンチはカルディエーロ周辺で防備を固め、地面がぬかるんで大砲をほとんど使用できないと予想されるフランス軍を迎え撃つ準備を整えた。
フランス軍はマッセナ師団とオージュロー師団合わせて約13,000人であり、カルディエーロ近郊で防衛線を構築しているフリウーリ軍のほぼ1.5倍だった。
しかし、フリウーリ軍はカルディエーロ近郊の約8,000人が全軍というわけではなく、後方にプロベラ将軍率いる主力が控えていた。
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