アルコレ戦役 04:カスダノウィッチ師団の進軍とナポレオンによるイタリア方面軍の強化
Battle of Arcole 04
カルディエーロの戦い、アルコレの戦い
勢力 | 戦力 | 損害 |
---|
フランス共和国 | カルディエーロの戦い:約13,000人 アルコレの戦い:約19,000人 |
カルディエーロの戦い:死傷者と捕虜の合計約1,800人、大砲2門 アルコレの戦い:死傷者約3,300人、捕虜約1,200人 |
オーストリア | カルディエーロの戦い:12,000人~16,000人 アルコレの戦い:約22,000人 |
カルディエーロの戦い:死傷者と捕虜の合計1,243人 アルコレの戦い:死傷者約2,070人、捕虜約4,144人、大砲11門 |
カスダノウィッチ師団の前進とフランス軍の対応
9月下旬に多くの増援を受け取ったカスダノウィッチは、フランス軍が弱体化しているためアディジェ川より先に進軍することができないことを知った。
1796年10月1日、カスダノウィッチはブレンタ川に前哨基地を置き、ヴィチェンツァまで偵察部隊を押し進めた。
◎カスダノウィッチ師団の進軍とマッセナ師団の派遣
カスダノウィッチへの対応を迫られたボナパルトは、マッセナに軍前衛としてバッサーノに向かい部隊を配置するよう命令した。
そしてブレンタ川を越えてオーストリア軍を追い返し、ヴォーボワ師団との連絡線を確保し、ヴォーボワ師団の作戦を監督することを命じた。
これは暗黙の内にマッセナにヴォーボワ師団の指揮権を与える命令だった。
そして師団長が病気から復帰したオージュロー師団をマッセナ師団と入れ替わりになるようにゴヴェルノロから軍本部のあるヴェローナに移動させた。
イタリア方面軍の強化
マッセナ師団がバッサーノに向けて出発した頃、ボナパルトはサン・ジョルジュの戦いと病気により大幅に弱体化したイタリア方面軍を強化するために奔走していた。
オーストリア軍は弱体化したものの軍を強化し早急に3度目の侵攻を行ってくるだろうことは容易に予想された。
1796年10月1日時点での動員可能な兵力は18,900人であり、その他にマントヴァ要塞の包囲のためにキルメイン師団約5,000人、ロンバルディア、チェバ、アレクサンドリア、ケラスコの防衛のために約4,000人、病院に約14,000人がいた。
10月までであればフランス本国からの増援はアルプス山脈を越えることができるが、11月にもなるとアルプス山脈に雪が降り積もり、フランス本国からの増援はアルプス山脈を越えることができなくなる。
対するオーストリア軍はオーストリア本国との間に大きな障害は無く、雪が降ったとしてもアルプス山脈を経由する一部の道は通れなくなり行軍は困難になるものの、増援を前線のあるチロル州とフリウーリ州に送ることは可能だった。
◎冬季における両軍の本国との連絡線
この点においてフランス軍は圧倒的不利な状況に置かれていた。
ローマとオーストリアに対抗するためには少なくとも動員可能兵力35,000人、その他にマントヴァ要塞の包囲のために8,000人が必要だと考えられた。
そのためボナパルトはあらゆる手段を利用して早急にイタリア方面軍を強化しようとした。
10月1日時点の動員可能兵力18,900人とマントヴァ要塞包囲軍約5,000人の合計である約23,900人を6週間後には約50,000人にまで増強しようと考えていたのである。
ボナパルトはフランス政府に早急な増援の到着を催促しつつ、アルプス方面軍のヴィヨー(Willot)師団と連絡を取り増援を求めた。
しかしヴィヨー将軍は「アルプス方面軍の守備範囲はあくまでもアルプス山脈までであること」、「イタリア方面軍の問題はイタリア方面軍で対応することが筋であること」を理由にこれを拒否した。
ボナパルトがフランス政府に苦情を伝えると、政府は西海岸から約4,000人、フランス内部から約2,000人、他の軍から約10,000人を引き出しイタリアに向かわせるよう手配した。
10月2日、ボナパルトはリヨンにいるケレルマン将軍にも書簡を送り、リヨンにある半旅団をイタリア方面に増援として派遣するよう、「もし貴官が70万フランの送金の継続を望むなら」という脅迫めいた言葉とともに要請した。
マスケット銃も不足しており、イタリア方面軍の兵士のほとんどはオーストリア軍から奪ったマスケット銃で武装していた。
そのためスペインからローンで購入し、後にリヴォルノに運び込まれることとなった。
スペイン王国は1795年にフランス共和国と休戦しており、1796年8月19日にフランスと同盟を締結していたためスペインから武器の購入ができたのである。
ボナパルトの努力はすべてが報われたわけでは無かったが、次々と増援の約束を取り付けイタリア方面軍を武装させていった。
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