リヴォリ戦役 19:プロベラ師団によるアディジェ川渡河作戦の開始
Battle of Rivoli 19
リヴォリの戦い、ラ・ファヴォリータの戦い
勢力 | 戦力 | 損害 |
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フランス共和国 | リヴォリの戦い:19,000人~22,000人 ラ・ファヴォリータの戦い:セリュリエ師団約6,000人+オージュロー師団とマッセナ師団の一部 |
リヴォリの戦い:死傷者と捕虜の合計約3,200人、大砲2門 ラ・ファヴォリータの戦い:不明 |
オーストリア | リヴォリの戦い:約28,000人 ラ・ファヴォリータの戦い:プロベラ師団約7,000人、マントヴァ要塞駐屯軍約10,000人 |
リヴォリの戦い:死傷者と捕虜の合計約12,000人 ラ・ファヴォリータの戦い:死傷者不明、捕虜約6,000人、大砲22門 |
プロベラ師団によるアディジェ川渡河作戦の開始
1797年1月13日夜11時、渡河準備が整うと、プロベラはアンジャーリの前を流れるアディジェ川左岸の木の生い茂った砂州に口径の異なる6門の大砲を運び込み、10隻のボートに200人の兵を乗せて渡河作戦を開始した。
◎プロベラ師団によるアディジェ川渡河作戦の始まり
フランス軍はアディジェ川の監視のために第5軽半旅団の107人の分遣隊を川沿いに分散して配置しており、アンジャーリにはその内の12人が配置されていた。
アンジャーリ守備隊は何度か大砲を発射したが3人の兵を失った後、数で勝るオーストリア軍を前に逃げることを余儀なくされた。
アンジャーリ守備隊のリーダーはすぐに事態をレニャーゴ、ロヴェルキアーラ、ロンコの本部に報告した。
最初の上陸に続き2回目の上陸が行われ、オーストリア軍はアンジャーリを占領し、時間を無駄にすることなく橋の建設を開始した。
アンジャーリでの最初の攻防
プロベラ師団によるアディジェ川渡河についての第一報を受け取ったギウ中将は、ロヴェルキアーラのボン中将に命令を送った。
◎アンジャーリでの最初の攻防
ボン将軍は第51半旅団の4個中隊と第9半旅団の140騎の竜騎兵とともにアンジャーリに進軍した。
ボン将軍はアンジャーリに到着すると村を攻撃し、オーストリアの前衛を打倒し、竜騎兵は道路上に設置された車のバリケードに向かってオーストリアの前衛部隊をを追い返した。
オーストリアの前衛部隊はこの障害物に足を止められ追い詰められたが、対岸からの砲撃に支援され、振り返って抵抗した。
戦闘は4時間におよんだが、ボン将軍は後退を余儀なくされ、援軍を待った。
しばらく後、ギウ中将がロンコから1,500人の兵士とともに到着した。
しかし、アンジャーリでは多くのオーストリア兵が渡河を完了しており、フランス軍は数的劣勢なままだった。
1月14日午前5時、数的劣勢な立場であるはずのフランス軍は驚くべき勢いで攻撃を再開したが、決定的なものは何もないまま戦闘は正午まで続いた。
オーストリア軍はフランス軍の右側面に移動し、ギウ将軍はそれに対抗することを強いられた。
オーストリア軍は数的優位を生かして戦線を広げ、それによってフランス軍の弱点を探るつもりだったのである。
ギウ将軍は騎兵を押して5門の大砲を有する4,000~5,000人ほどと見られるオーストリア軍を驚かせ、武器を置かせた。
しかし歩兵の到着が間に合わず、オーストリア軍は再び武器を取りフランス軍に対抗した。
この騎兵による奇襲はオーストリア軍に70人の損失を与えただけだった。
これ以上、この不利な戦闘を行うことはできないと考えたギウ将軍は退却を命じ、最高の秩序でゆっくりとロンコへ向かった。
ギウはこの一連の出来事をしたため総司令官に報告した。
プロベラ師団本体の前進
師団本体がアンジャーリで渡河を完了すると、プロベラ将軍はボナヴィーゴ(Bonavigo)とレニャーゴに派遣した分遣隊に本体と合流するよう命じた。
しかし、アンジャーリに到着した分遣隊は橋の解体前に到着することができず、バヤリッヒ旅団と合流するためにコローニャに向かった。
そしてプロベラ師団本体はアンジャーリに2個大隊と騎兵の分遣隊を後衛として残し、チェレーアとサングイネットを経由するルートでノガラ(Nogara)へ向かった。
◎プロベラ師団の渡河の完了と前進
後衛は本体と適切な距離を保って前進する予定だった。
後衛と後衛とともにアンジャーリに残した大砲14門、アディジェ川左岸側に残しバヤリッヒ旅団の元に向かった部隊、そして今までの戦闘での損失により、プロベラ師団本体は約7,500人、大砲22門にまで減少していた。
この時、プロベラは自らの退路を断ち、分断したオージュロー師団を残してマントヴァへ向かっている。
通常であれば退路と周囲の安全を確保してから前進するのだが、このプロベラの行動はマントヴァへ相当急いでいるように見える。
アディジェ川左岸でボナヴィーゴとレニャーゴに派遣されていた分遣隊を待たずに橋を解体していることからも推察できる通り、かなり急いでいたのだろう。
アルヴィンチのスケジュール通りに行動することを強く求められていたことが理由なのか、マントヴァ要塞が陥落間近であることが理由なのかは不明だが、プロベラは自らの危険を顧みずマントヴァ方面へ向かったのである。
オージュローによるアンジャーリ攻撃計画
プロベラ師団がアンジャーリでアディジェ川を渡河したことににより、オージュロー師団は完全に2つに分断されていた。
1つはロンコのギウ師団、ロヴェルキアーラのボン師団、ロンコに向かっている途中のドゥガ騎兵隊。
もう1つはレニャーゴよりアディジェ川下流域に位置するオージュロー率いるデュポー(Duphot)旅団、ヴァルテール(Valterre)旅団、ポイント(Point)旅団、ランヌ旅団である。
1月14日午後、ロンコの本部と切り離されたオージュローは冷静だった。
オージュローは無理にプロベラ師団を攻撃せずレニャーゴに兵力を集結させて守りつつプロベラの動きを制限しようとし、もしプロベラが前進した場合、退路を遮断することを狙っていた。
分断されたオージュロー師団の兵力は約3,000人でありランヌ旅団を合計すれば約5,000となる。
約9,000人と推定されるプロベラ師団の攻撃からレニャーゴを守るには十分な兵力だった。
レニャーゴのオージュローはデュポー将軍、1797年1月にサンブル・エ・ムーズ軍のベルナドット師団から異動してきたヴァルテール将軍、1月10日に着任したばかりのポイント将軍の部隊を集結させ、ランヌ将軍の2,000人の兵士で彼らを補強した。
オージュローは集結させた師団を2つに分割し、オージュローが自ら指揮を執る1列目はアンジャーリへ向かって行進し、2列目はポイント将軍が指揮を執りオーストリア軍を待ち伏せする計画を立案し実行に移そうとした。
ギウ将軍によるプロベラ師団本体への攻撃
オージュロー師団がアンジャーリに向かっている途中、ロンコから舞い戻ったギウ将軍はプロベラ師団本体へ激しく攻撃を行った。
プロベラはギウ師団を強く撃退し、常に距離を保つよう強いた。
しかし、すぐにボン将軍とドゥガ将軍の分遣隊が右側面に現れプロベラの進路を妨害した。
プロベラは2個大隊と2個騎兵中隊を差し向け、フランス軍の分遣隊を壊滅させ、50人の騎兵を捕らえた。
この側面攻撃によりプロベラの行軍は1時間遅れることとなった。
アンジャーリでの戦闘
オージュローはアディジェ川に平行な道をたどってアンジャーリにいるプロベラ師団の後衛を攻撃しようと前進した。
30分の長さの隘路を抜け、その出口でダムに至る水田の間を通る道を通過し、ポイント将軍は後衛を避けて堤防の陰に隠れた。
プロベラ師団後衛は本体を追うためにアンジャーリを出発しようとしているところだった。
ランヌ将軍とデュポー将軍の部隊がその後ろから攻撃を開始した。
◎アンジャーリでの戦闘
ランヌ将軍とデュポー将軍の部隊は銃剣を腰に構えて後部を圧迫し、ポイント旅団はその側面を突いた。
プロベラ師団の後衛はこの危険な状況から脱するために行軍速度を速め、レニャーゴからマントヴァへの主要道路に出るルートで本体と合流するために左に進路を取った。
しかし、すでに主要道路上にはプロベラ師団の後衛を追い越したポイント旅団の後部が並んでおり、プロベラ師団の後衛はチェレーアへの道を封鎖され完全に包囲された。
騎兵隊はサーベルを手にして通り抜けることに成功したが、歩兵約1,500人は降伏を余儀なくされた。
オージュローはプロベラが撤退するための橋を燃やした後、オージュロー将軍と連絡のつくすべての部隊をを呼び戻し、バランド(Balland)将軍に1,000人の兵を与えてレニャーゴの防衛に当たらせ、自身はプロベラ師団の追跡に出発した
プロベラ師団本体はサンギネットを経由して夕方にノガラに到着し、タルタロ川の後ろで野営した。
14日夜、(ギウの)第4大隊が哨戒任務中に160人のオーストリア兵を連行した。
そしてこの日の内にギウ師団との連絡を再確立し、翌15日の午前中までにボナパルトとの連絡を回復した。
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