ガルダ湖畔の戦い EX:【徹底考察】アスターテ会戦 
Battle on the shores of Lake Garda EX

アスターテ会戦

勢力 戦力 損害
自由惑星同盟 約40,000隻 2,000,000人
銀河帝国 約20,000隻 200,000人

銀河英雄伝説のアスターテ会戦のモデルの1つは「ガルダ湖畔の戦い」であると言われています。

本記事ではナポレオンが関わった戦いと比較しながらアスターテ会戦について考察しています。

銀河英雄伝説好き、ナポレオン好きの方はぜひご覧ください。

自由惑星同盟軍による分進合撃作戦の採用

アスターテ会戦は、宇宙歴796年/帝国歴487年2月にエル・ファシルとイゼルローン要塞の間に位置するアスターテ宙域で行われた会戦です。

銀河帝国軍約20,000隻に対し自由惑星同盟軍は約40,000隻であり、帝国軍に倍する兵力を有していました。

自由惑星同盟軍は数的優位を生かし分進合撃作戦を採用。ムーア中将率いる第6艦隊約13,000隻は左翼、パストーレ中将率いる第4艦隊約12,000隻は中央、パエッタ中将率いる第2艦隊約15,000隻は右翼を担当しました。

分進合撃戦法(外線作戦)を採用した理由は、ダゴン星域会戦を再現して大勝利を収めるためであり、戦略目標は帝国軍を追い払うことでした。

銀河帝国軍による各個撃破作戦の採用

出発時点とその途上のことは書かれていませんが、アスターテ星域付近ではすでに同盟軍の各艦隊は分かれてアスターテ星域に向かって進軍していました。

それぞれの艦隊が即座に駆け付けることができない距離で進軍していたのです。

一方、銀河帝国軍を率いるラインハルト・フォン・ローエングラム上級大将は同盟軍の「それぞれの艦隊が即座に駆け付けることができない距離で進軍」している状況を各個撃破(内戦作戦)の好機と捉えます。

帝国軍の戦略目標は同盟軍に大きな損害を与えることでした。



アスターテ会戦の始まり(帝国軍vs第4艦隊)

ローエングラム上級大将は前進の速度を上げ、正面に位置する同盟軍中央の第4艦隊を急襲します。

帝国軍20,000隻に対して第4艦隊は12,000隻の数的劣勢の状況にあり、しかも先手を取られた上に戦闘態勢を整えていませんでした。

帝国軍は戦闘開始4時間で同盟軍第4艦隊を撃破。パストーレ中将の乗る旗艦レオニダスも撃沈します。

この戦闘で帝国軍に損害はほとんどありませんでした。

ヤン准将による第6艦隊との合流の提案

第4艦隊と帝国軍が戦闘状態に入り様々な妨害電波などで戦況が分からない中、第2艦隊次席幕僚ヤン・ウェンリー准将は上官であるパエッタ中将に一刻も早く第6艦隊と合流して戦力を集中すべきであることを進言しますが、パエッタ中将は第4艦隊が交戦を続けているはずであるとしてヤン准将の進言を却下しました。

同盟軍第2艦隊パエッタ中将と第6艦隊ムーア中将は、僚友であるパストーレ中将が帝国軍と交戦し続けていることを信じて分進合撃作戦を続行。進路を変更し第4艦隊が戦っているであろう宙域に向かって進軍しました。

一方、帝国軍は散り散りとなった同盟軍第4艦隊の掃討を行わず、次の標的である同盟軍左翼の第6艦隊のもとに向かいました。

帝国軍vs第6艦隊

帝国軍は第4艦隊との戦闘宙域から右に進路を取り同盟軍第6艦隊の右後背に回り込む計画でした。

第6艦隊司令官ムーア中将のもとに右後背から帝国軍接近の報が入りますが、ムーア中将はそれを信じず前進を続けました。

そしてローエングラム上級大将は作戦通り、同盟軍第6艦隊から見て4時半の方角から現れ攻撃を開始し、第6艦隊は奇襲を受けた形となりました。

ムーア中将は砲撃を受けているなか回頭して抵抗しようとしますが帝国軍に側面を晒し、戦闘態勢にも入れないまま艦隊は壊滅しました。

帝国軍は降伏を勧告しますがムーア中将はこれを拒否。旗艦ペルガモンもろとも撃沈されました。

この時、銀河英雄伝説の主人公の1人ヤン・ウェンリーの親友であるジャン・ロベール・ラップが旗艦ペルガモンに乗船しており、戦死しています。

この戦闘においても帝国軍はぼぼ無傷でした。

帝国軍約20,000隻対して第6艦隊は約13,000隻の数的劣勢の状況にあり、それに加えて右後背から奇襲を受けていました。

そのためまともに戦うことすらできずに壊滅させられたのでした。



帝国軍vs同盟軍第2艦隊

同盟軍第4艦隊と第6艦隊を撃破した帝国軍の最後の目標はパエッタ中将率いる第2艦隊でした。

ローエングラム上級大将は真っ直ぐ第2艦隊のもとに向かいました。

そしてお互い正面で遭遇します。

第2艦隊司令官パエッタ中将は、目の前に帝国軍が現れたことで第4艦隊に続き第6艦隊をも失なわれたことを察しつつもそれを信じられないでいました。

そのため判断が遅れ、すでに戦闘態勢をとっている帝国軍に先制攻撃を許してしまいます。

帝国軍約20,000隻と第2艦隊約15,000隻との戦いの幕が切って落とされました。

先制攻撃を受けた第2艦隊は、戦闘開始して間もなく旗艦パトロクロスの艦橋が被弾し、パエッタ中将が重傷を負ってしまします。

これにより健在な士官の中で最も階級の高いヤン准将が指揮権を引き継ぎました。

帝国軍ローエングラム上級大将は今までの戦勝の勢いに乗り中央突破を図ろうとします。

しかし、ヤン准将は、第2艦隊と戦闘に入ったときに想定し得る状況とその対応策を事前にコンピュータに保存していました。

帝国軍が陣形を変え、その目的が中央突破であると感づいたヤン准将はコンピュータに保存された対応策の1つを選び指示を出しました。

ヤン准将はわざと中央突破を許し、2つに分断されたと見せかけて帝国軍の背後に回り込み、反転して攻撃を行いました。

後背を突かれた形となったローエングラム上級大将はその場で反転はせず、右に進路をとってぐるりと回り込み、同盟軍の背後に喰らいつくよう命令しました。

戦型は環状になり、さながら2匹の蛇が互いの尾を喰らい合うウロボロスのような形となりました。

帝国軍の方が約5,000隻数が多いので、このまま戦いが推移した場合、単純計算で同盟軍が負けてしまいます。

ですがヤン准将は、ローエングラム上級大将は消耗戦を嫌って撤退するはずだと考えていました。

そしてヤン准将の予測通り消耗戦を嫌った帝国軍が撤退していき、それに合わせて同盟軍も戦いを停止しました。

負けないという目的を達したヤン准将もその後撤退し、アスターテ会戦は幕を閉じました。

このアスターテ会戦での損害は、帝国軍の戦死者約200,000人、同盟軍の戦死者約2,000,000人でした。



同盟軍の失敗①:艦隊同士が離れ過ぎていたこと

分進合撃作戦自体は実はそれほど問題ではありません。

大兵力が1つの経路で行軍するのと比べて、戦場に着くまでの間の補給基地の負担や物資不足のリスクを軽減でき、行軍速度が上昇するというメリットがあるからです。

※ナポレオン戦争時代ではそれに加えて軍の先頭が接敵してからの部隊の展開の早さも重要なメリットの1つでした。

しかし、それは戦場に着くまでの間です。

想定し得る戦場近くでは各艦隊が連携を取り、多少離れていたとしてもすぐに駆け付けることができる距離にいることが重要だからです。

たとえ同盟軍が包囲殲滅作戦を計画していたとしても、リスクが高すぎる動きです。

ガルダ湖畔の戦いにおいて、敗北した側であるヴルムサー元帥はガルダ湖とミンチョ川で分断されているカスダノウィッチ師団とどうやって合流しようかを常に考えていました。

それに対して銀河英雄伝説は宇宙空間での戦いです。艦隊と艦隊の間に遮るものはありません。

とても士官学校を出ている人達の計画とは思えません。

同盟軍の失敗②:各艦隊の戦力配分

アスターテ会戦において同盟軍は帝国軍の正面を受け止める中央第4艦隊約12,000隻、左翼第6艦隊約13,000隻、右翼第2艦隊約15,000隻という戦力配分でした。

通常、何らかの作戦や事情が無い限り敵正面を受け止める軍は敵と同等以上の兵力を有していることが望ましいです。

ですが、同盟軍は敵の攻撃が最も苛烈である正面の戦力配分を最も少なくしているのです。

しかも各艦隊同士が離れ過ぎているため救援に駆け付けることができない状況であり、これでは第4艦隊を狙ってくださいと言っているようなものです。

同盟軍の失敗③:戦場に総司令官がいない

第2艦隊パエッタ中将、第4艦隊パストーレ中将、第6艦隊ムーア中将は同列であり、戦場に彼らを指揮する総司令官はいませんでした。

そもそもアスターテ会戦は事前にフェザーンから詳細な情報が漏れたことにより、ハイネセンの司令部で作戦が決まり彼らが派遣されたという経緯があり、状況の変化に対応しづらい土壌が出来上がっていました。

ただ艦隊間の連絡ができない状況であるため、総司令官を任命していても状況は変わらなかったかもしれません。



同盟軍の失敗④:艦隊間の連絡を蔑ろにしていた

銀河英雄伝説の戦闘中の通信は短距離通信しかできません。

というのも各種妨害電波の発達により有人偵察艇や監視衛星での偵察に頼らざるを得なかったからです。

そのため帝国軍と第4艦隊が衝突した時、第4艦隊は帝国軍が発する妨害電波の浸食により第2、第6艦隊と通信できず連絡艇2隻づつを向かわせたのです。

軍事行動において相互連絡ができない状況というのは致命的です。

後方連絡基地などを設営しリアルタイムでなかったとしても迅速に連絡できるような体制を整えるべきでした。

ガルダ湖畔の戦いではヴルムサー本体とカスダノウィッチ師団との連絡線が長かったという状況でしたが、決して連絡ができなかったわけではありませんし連絡を蔑ろにしていたわけではありません。

地形的に連絡線を長くせざるを得なかったのです。

陸路での連絡はもちろんですが、ガルダ湖艦隊を中継して連絡を取り合っていたことでナポレオンを挟撃する一歩手前まで追いつめていました。

それに対して同盟軍は事前に想定できる状況に対して何の対策も取っていませんでした。

そして帝国軍が急進して第4艦隊を攻撃した時点で同盟軍の計画は崩れ去っていました。

同盟軍の戦略目標は未だ達成できておらず、帝国軍と第4艦隊の戦況は把握できない状況でした。

それに対して帝国軍の戦略目標は第4艦隊を壊滅させた時点で達成しており、いつ撤退してもいい状況でした。

しかし各個撃破の好機を逃がすはずもなく、帝国軍は次の標的がいるであろう宙域に向かいます。

この時点で第2艦隊と第6艦隊ともに見通しが不明瞭な状況の中、第4艦隊が奮戦しているという自らの希望を信じて第4艦隊の救援に向かう選択をしました。

情報が得られないのであれば、最悪の事態を想定して動くことが望まれます。

帝国軍が急進して第4艦隊を攻撃した時点で帝国軍の目的は各個撃破にあることは明白であり、最悪の事態とは、第4艦隊、第6艦隊、第2艦隊のそれぞれが帝国軍の作戦通りに各個撃破されて壊滅し、戦略目標である帝国軍を追い払うことができない状況に陥ることです。

それを防ぐためには各艦隊同士が連携して帝国軍に対抗しなければなりませんが、艦隊間の連絡ができない状況であるため連携をとることは不可能でした。

ヤン准将は無傷の第2艦隊と第6艦隊を素早く合流させ帝国軍に対抗することをパエッタ中将に進言していましたが、そもそも連絡ができない状況では第2艦隊が第6艦隊の方向に向かうことしかできません。

そのためヤン准将は第6艦隊の旗艦ペルガモンにムーア中将の幕僚として乗船している親友ラップ少佐も同じことを考えて上官に進言していることに希望を繋いだのだと考えられます。

第2艦隊、第6艦隊ともにお互いの方向に向かえば最短で合流できるのです。

しかし、パエッタ中将、ムーア中将ともにヤン准将とラップ少佐の進言を退けています。

パエッタ中将、ムーア中将は僚友であり、ヤン准将とラップ少佐のようにお互いの考えが理解できていたのではないでしょうか。

お互いパストーレ中将の救援に向かうはずだと。

自分のみ別の宙域で合流する選択をしたとしてもすれ違うことになるため、合流できる可能性が高い第4艦隊の救援に向かうという選択をしたのだと考えられます。(小説内にはそのような描写は書かれていません。)

もしそうだとしたら、それは艦隊間の連絡を蔑ろにし過ぎていたために起こった悲劇と言えるでしょう。

艦隊間の連絡をしっかりと確立する体制を整えていたとしたら、もしかしたら第2艦隊と第6艦隊は無傷で合流し、イゼルローン要塞への進路上付近であり、なおかつ防衛側に有利な宙域を選んで帝国軍を待ち受けることができたかもしれません。



同盟軍の失敗⑤:第6艦隊司令官ムーア中将の怠惰と戦術判断

第4艦隊が壊滅させられた後、第6艦隊の右後背から何かが現れムーア中将はその報告を受けますが、それを確認もせずに帝国軍は第4艦隊と戦っているから帝国軍ではないと断じ、ラップ少佐の進言も受け入れず奇襲を受ける形となりました。

右後背からの攻撃は致命的であり、通常であれば急速に撤退して態勢を立て直し、その後の状況に応じて行動を決めますが、ムーア中将は圧倒的に不利な態勢のまま反転して抗戦しようとしました。

カスティリオーネの戦いにおいてヴルムサー元帥はモンテ・メドラノを占領され、後背からセリュリエ師団に攻撃され圧倒的に不利な態勢に追い込まれました。

その後しばらく前線の将軍達の撤退願いを拒否し続けましたが、「少しの遅れが最悪の事態を招く」という英国士官の進言を聞き入れ全軍撤退の命令を出しました。

圧倒的不利な態勢にありながらも秩序を保って被害を最小限に抑え、その後ミンチョ川を挟んでナポレオンに対抗することができています。

マッセナに老人と評されながらもヴルムサーは合理的な進言を聞き入れることができていました。

それに比べてムーア中将は何かが右後背に現れたという報告を無視し、ラップ少佐の進言も聞き入れず何の対応も取りませんでした。

もしムーア中将が何かが現れたという報告を受けた時点で距離を保って注視するなどの対応を取り、帝国軍と判明した時点で即時撤退し被害を最小限に抑えられたとしたら、被害の状況やその後の状況にもよりますが、戦局は同盟軍の有利に進んでいたのではないかと考えられます。



帝国軍の失敗:第2艦隊との戦闘時の中央突破

帝国軍総司令官ローエングラム上級大将の各個撃破作戦は同盟軍の戦力配分や艦隊間の距離を考えれば合理的であり、掃討を行わないなど全体的な数的劣勢をスピードを重視することにより局所で数的優位を作り出しています。

ですが、第2艦隊との戦闘時の何の陽動もない中央突破はあまりにも危険です。

中央突破は単純明快で決まったときは爽快な作戦ですが、その実、非常に困難を伴う作戦だからです。

中央突破というのは敵中央を突破することで指揮系統を分断し、部隊間での連携を不可能にして撤退を誘発する、もしくは各個に殲滅することを目的としています。

今回のような全軍を集結させての中央突破を実行した場合、前面の敵中央からの攻撃だけではなく、両側面を敵両翼から攻撃を受けることになります。

つまり包囲されるのです。

しかも敵の最も厚いであろう中央を突破しなければなりません。

そのため通常であれば中央突破をするための前準備を行います。

陽動攻撃を行い中央から陽動攻撃を行う場所に部隊を向かわせるように誘導して敵中央を薄くするのです。

しかし、ローエングラム上級大将は陽動を行わずそのまま中央突破を行っています。

多少兵力差があったとしても実行するにはリスクのあり過ぎる計画です。

陽動攻撃をしない状況で中央突破を行って成功させた事例としては、ロアノの戦い時、オージュロー師団に完全包囲されたルカヴィナ旅団が中央突破をして包囲を突き破り本体と合流したというものがありますが、これは絶体絶命の時だからこそです。

帝国軍に有利な状況で採用する作戦ではありません。

帝国軍は数的優位を活かして同盟軍を包囲し、徐々に擦り減らしていく方が面白みはありませんが確実だったでしょう。

そして中央突破に対する同盟軍側の対応も中央の後退速度を早くするなどしてカンナエの戦いのように帝国軍を包囲するよう機動した方が良かったのではないかと考えられます。



アスターテ会戦とガルダ湖畔の戦い

アスターテ会戦とガルダ湖畔の戦いは全く似ていません。

三方から迫って来たところは同じですが、ラインハルトが初めから各個撃破を行うために同盟軍中央の第4艦隊を急襲したのに対し、ナポレオンは序盤は負け続け、ガルダ湖周辺から全軍撤退を指示しています。

そしてブレシアを奪還しモンテキアーリでヴルムサー本体が目前まで迫り、自身が挟撃の危機にあることを知ると再び撤退すると言いはじめます。

それをマッセナとオージュローに諫められ、ほんの僅かな差ながらも各個撃破に成功しています。

そしてオーストリア軍左翼はほとんど戦いに参加しておらず、ナポレオンはまずオーストリア軍右翼約18,000人を撤退に追い込み、次に反転してヴルムサー本体(オーストリア軍中央)約25,000人と決戦を行っていることから、戦いの形や戦力配分も全く異なります。

ではガルダ湖畔の戦いのどこをモデルとしたのでしょうか?

それは第1に分進合撃作戦(外線作戦)に対する各個撃破作戦(内戦作戦)が成功した事例ということ。

第2に銀河英雄伝説における帝国側の主人公であるラインハルト・フォン・ローエングラムのモデルの1人がナポレオンであるということ。

第3にヨーロッパ的な貴族がいる封建的な時代背景でしょう。

アスターテ会戦のモデルの1つとされる戦いには「ガルダ湖畔の戦い」の他に「サルフの戦い」も挙げられており、明らかにサルフの戦いの方がアスターテ会戦に似ています。

サルフの戦いは将来清の初代皇帝となるヌルハチ率いる後金軍と明・朝鮮軍の戦いで、明・朝鮮軍が圧倒的兵力を有して分進合撃作戦を行い、それをヌルハチが各個撃破していった戦いです。

銀河英雄伝説の著者である田中芳樹氏は中国史に造詣が深く、サルフの戦いはアスターテ会戦にとても似ているため、モデルとしたのは「サルフの戦い」であると考えられます。

銀河英雄伝説について

銀河英雄伝説は状況が主人公の都合のいいように進んでいく作品ですが、戦略的な考え方としては正しい部分が多く、戦争の知識が少ない人にとっていい教材になるでしょう。

そして民主主義と専制君主制を対比させて両者の良いところと悪いところを浮き彫りにし、登場人物にそれぞれの政治思想を語らせているため、好き嫌いはあるにしても中立的な見方ができるようになり、例えば民主主義であれば選挙に参加する重要性、専制君主制であれば民衆の命運は君主の能力によることが大きいというギャンブル性などが理解できるようになると思います。

昨今、日本では投票率の低さが問題になっており、投票率がどうやったら上がるのか頭を悩ませているようですが、利益誘導による投票率の底上げではなく、選挙に参加する重要性を国民が理解した上で投票率を上げることができるようにできれば日本はさらに発展していくのではないかと思います。

ネタバレになるため多くは語りませんが、面白い作品ですので、ぜひ読んでみることをお勧めします。

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