ガルダ湖畔の戦い 19:ロナートの戦い 
Battle on the shores of Lake Garda 19

ロナートの戦い、カスティリオーネの戦い

勢力 戦力 損害
フランス共和国 ロナート:約20,000人
カスティリオーネ:約30,000人
ロナート:約2,000人
カスティリオーネ:約1,300人
オーストリア ロナート:約15,000人
カスティリオーネ:約25,000人
ロナート:約5,000人
カスティリオーネ:約3,000人

ロナートの戦い 序盤:ロナートの戦いの始まりBattle of Lonato: Early Stage

 1796年8月2日夜、カスダノウィッチはサローのオクスカイ旅団をロナートに向けて出発させた。

 同じく8月2日の夜にロナートからサローに向けて進軍したギウ旅団は、忘れ去られた旧道を通りサローへ向かっていた。

 このギウ旅団の動きを察知したカスダノウィッチはサローのロイス旅団と連絡を取り、ギウ旅団の排除及びオット旅団とオクスカイ旅団の連絡の確保のためにオクスカイ旅団が通った道を通りデセンツァーノに向かわせた。

 オクスカイ旅団は3日の夜明けにロナートを攻撃し、ロナートに駐留していたピジョン旅団と戦闘を繰り広げた。

 オクスカイがピジョンと戦闘を始めた頃、オクスカイ旅団の後を追うように進軍しているロイス旅団はサローからデセンツァーノまで通っている街道の途上にいた。

 ギウが忘れ去られた旧道を通りサローへ進軍したためオクスカイ旅団及びロイス旅団とギウ旅団はお互いに遭遇することは無くすれ違ったのである。

 ギウが忘れ去られた旧道を選んだのは、恐らく奇襲をするためだと考えられる。

 デスピノイとダルマーニュはレッツァートを出発していた。

◎ロナートの戦い序盤における両軍の動き

 その後、ギウは3日の午前中にサローに到着した。

 しかしサローにオーストリア軍はおらず、ギウはサローを占領するとガヴァルドに向けて進軍を開始した。

 ギウはカスダノウィッチ師団の砲車倉庫を占領したが、すぐにスポーク旅団に反撃されて奪い返された。



ロナートの戦い 中盤①:第2次ロナート争奪戦Battle of Lonato: Middle Stage 1

 午前の終わり頃、数時間に及ぶ激戦の末ピジョン旅団は打ち負かされた。そしてピジョン将軍は捕らえられ、約150人が捕虜となり、3門の大砲を奪われた。

 ピジョンから指揮を引き継いだジュノー大佐率いるピジョン旅団が灌漑用水路であるセリオラ・ロナータ(Seriola Lonata)を越えたところまで撤退した時、マッセナ師団がロナートに到着した。

◎第2次ロナート争奪戦①

 マッセナは師団を展開するために、まず2個歩兵大隊を形成して第15番竜騎兵に支援させオクスカイの中央に突撃して射撃させた。

 マッセナはすぐさま両翼(左翼:ジュノー旅団(旧ピジョン旅団)、中央:ヴィクトール旅団、ランポン旅団、右翼:ジュベール旅団(ジュベールが体調不良のためロルセ(Lorcet)が指揮をした))を展開し、左右に小部隊を送ってオクスカイ旅団の両翼の行進を遅延させた。

 この遅延により得た時間でマッセナは師団を前進させ、1個歩兵大隊と250騎の猟騎兵を予備として形成した。

 第15番竜騎兵はオーストリア騎兵隊へ突撃し、それらを分散させ、奪われた3門の大砲を取り戻した。

 そして散在して統率が乱れているオクスカイ旅団をミンチョ川方向(デセンツァーノ)へ撤退させた。

◎第2次ロナート争奪戦②

 オクスカイ旅団は最初の2個歩兵大隊と第15番竜騎兵での突撃で撤退していったのである。

 ボナパルトはすぐさま左翼のジュノー大佐に旅団の騎兵の他に第15番竜騎兵とボナパルト直属の騎兵隊を率いさせデセンツァーノに先回りさせた。



ロナートの戦い 中盤②:デセンツァーノでの戦闘Battle of Lonato: Middle Stage 2

 ジュノーは迂回してデセンツァーノに向かい、オクスカイよりも先にデセンツァーノに到着した。

 敗走するオクスカイ旅団がデセンツァーノに現れるとジュノーはオクスカイ旅団の正面に突撃した。

 オクスカイはフランス軍に取り囲まれ、旅団の残党とともに降伏した。これによりオクスカイ旅団に捕らえられた150人の捕虜を救出したがピジョン将軍は捕らえられたままだった。

 この戦闘でジュノーは6人のオーストリア騎兵を殺害し、頭部をサーベルで切り付けられ負傷した。

 ジュノーはこの負傷により性格が変わったと言われている。

◎デセンツァーノでの戦闘

 オクスカイとその旅団を捕虜にしたジュノーだったが、そこへオーストリア軍ロイス旅団約1,800人が現れた。

 ロイスはすぐにデセンツァーノを占領すると、捕虜となったオクスカイ旅団を救出した。しかしオクスカイは捕虜となったままだった。

 デセンツァーノを占領したのも束の間、ロイスはオクスカイ旅団を打ち破ったマッセナ師団がロナートからデセンツァーノに迫っており退路が脅かされようとしていることを知るとカスダノウィッチのいるガヴァルドに向かって撤退した。

 ロイスはロナートから出撃したランポン旅団4個大隊の追撃を受けながらガヴァルドへ急いだ。

◎ロイス旅団の動き

 ランポン旅団の追撃によりロイスによって救出されたオクスカイ旅団の兵士たちの多くが再び捕らえられたが、ロイスはガヴァルドに逃げ切り、分散して逃亡したオクスカイ旅団の一部はガルダ湖で小艦隊に拾われた。

 ランポンをロイス旅団とオクスカイ旅団の追撃に派遣したマッセナの手元の兵力はごくわずかとなった。

 そのためマッセナは自身を覆うために、ヴィクトール旅団に対しデセンツァーノから気付かれないように撤退し、ヴィクトール自身は2個騎兵中隊でロナートの左の位置を占領し、強力な部隊を右側に派遣するよう命じた。



ロナートの戦い 中盤③:パイトーネでの戦闘Battle of Lonato: Middle Stage 3

 デスピノイ師団はガヴァルドに向かっている途中、レッツァート方面に向かっているオット旅団の前衛と遭遇し戦闘を開始した。

 ダルマーニュ旅団はパイトーネに向けて進軍していた。

 ガヴァルドにいるカスダノウィッチは北ではギウ旅団に攻撃され、南ではデスピノイ師団とダルマーニュ旅団に遭遇し2方向からの攻撃に晒されていた。

 カスダノウィッチは北にスポーク旅団を送り、クレナウ旅団を増援としてオット旅団の元に送った。

 デスピノイはオット旅団とパイトーネで戦闘を繰り広げたが、地形的な理由とオット旅団がクレナウ旅団の一部によって強化されたことにより劣勢にとなった。

 ダルマーニュ旅団はオット旅団の後方を突くためかパイトーネの東側の道から何度かガヴァルドに攻撃を仕掛けたが、すべて撃退された。

 その後、デスピノイ師団は無秩序にブレシアに退却した。

 デスピノイが退却したことにより1個歩兵大隊とともに孤立したダルマーニュも退却しレッツァートで夜を明かした。

◎パイトーネでの戦闘

 ガヴァルドの北側でスポーク旅団がギウ旅団と戦闘を繰り広げていたこと、そしてデスピノイとダルマーニュの攻撃によりカスダノウィッチの考えが防御寄りとなり、オットをパイトーネから南下させなかったことが彼らの救いとなった。



ロナートの戦い 終盤:ガヴァルドでの戦闘Battle of Lonato: Last Stage

 ガヴァルドにロイス旅団と壊滅状態のオクスカイ旅団が続々と到着している時、カスダノウィッチ麾下のスポーク旅団はガヴァルドの北側でギウ旅団との戦闘を繰り広げていた。

 ギウ旅団によってイドロ湖方面の退路の1つを失っていたため、それを取り戻すことがカスダノウィッチにとって喫緊の課題だった。

 そこでカスダノウィッチはガヴァルドに到着してきた兵員で部隊を形成し武器を与えてスポーク旅団へ増援として送り、スポーク旅団を補強した。

 スポーク旅団は時間の経過とともにその数を増していき、そして数を増すごとにギウ旅団への圧力を強めていった。

 ギウは戦線を維持できなくなりつつあっためマッセナに援軍を求めた。

 しかし援軍は間に合わず、スポークは遂にギウ旅団をサローまで押し返すことに成功した。

◎ガヴァルドでの戦闘

 これはオクスカイ旅団の最後の一撃となった。

 スポーク旅団はサローの西側を勢力下に置き、イドロ湖方面への退路を確保した。

 ギウは現有戦力で何とかサローを保持してガヴァルドとロナートを巡る8月3日の戦いは終わった。