ロアノの戦い 05:ルカヴィナの活躍とアルジャントーの敗北 Battle of Loano 05
ロアノの戦い
勢力 | 戦力 | 損害 |
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フランス共和国 | 約25,000人 | 約1,700人 |
オーストリア サルディーニャ王国 |
約18,000人 | 約4,000人 捕虜:約4,600人 |
マティアス・ルカヴィナ・フォン・ボイノグラードMathias Rukavina
オーストリア軍ルカヴィナ少将はカステッラーロで孤立し完全に包囲されていた。
ルカヴィナの右を防衛していたテルニシーの部隊は降伏し、それを見た海岸の部隊は後退した。
ルカヴィナはフランス軍により、ルカヴィナの後背はドマルタン少将とランヌ大佐、正面はルスカ少将とヴィクトール少将の部隊によって包囲されていた。
オージュローはルカヴィナに繰り返し降伏勧告を行ったが、午前3時頃、ルカヴィナは「我々は武装を放棄しない。我々をそのまま味方の部隊まで後退させるのであればこのカルテッラーロを放棄する」という内容をオージュローに伝えた。
オージュローはルカヴィナが提示した条件を拒否し、ルカヴィナに10分以内の無条件降伏を要求した。
ルカヴィナは無条件降伏を拒否し、欄干から微笑みかけた。「我々は通過するつもりだ、そこまで行くにはそれほど時間はかからない」とルカヴィナの正面に位置しているヴィクトール旅団を指さした。
ルカヴィナは部隊を率いてヴィクトール旅団に突撃を敢行した。
ヴィクトールはマスケット銃で戦列を形成し攻撃を集中させたが、ルカヴィナの部隊の猛攻に押され後退した。
ヴィクトールは他の旅団から支援されているにも関わらず、突破されたのである。
ルカヴィナと部隊の半数はウォリスの後衛と合流し、ピエトラへ退却した。
ルカヴィナの敵であるフランス人でさえルカヴィナの勇気と功績に感銘を受けたと言われている。
アルジャントーの敗北Defeat of Argenteau
マッセナはバルディネートの守備隊を追い払い、カッザーノを占領した。
もしアルジャントーがメローニョ、モンテ・セッテパニで防衛線を構築していた場合、オージュローがウォリスを退却に追い込みピエトラへ進軍すると、オージュローの左にアルジャントーがいることになる。
オージュローは前面にウォリス、左にアルジャントーと2正面作戦を強いられることになるのである。
マッセナはメローニョに目を向けた。
左翼ではセリュリエがサン・ベルナルドのピエモンテ軍を一日中釘付けにしていた。
そしてシェレールはマッセナからの連絡が無いことに困惑していた。
尚且つ、弾薬の欠如、兵士の疲労、暗闇と雹で戦場を覆いつくした激しい嵐により軍を動かすことができずにいた。
ウォリスはこの空隙を利用してピエトラを放棄し、フィナーレへ後退した。そして、アルジャントーにメローニョを守るよう命令書を送った。
しかし、後退したアルジャントーは効果的な防衛線を構築する時間を与えられずメローニョへ、そしてボルミダへの撤退を命令していた。
マッセナはアルジャントーを追い、セルヴォニ、メナード、ピジョンとともに羊飼いだけが知っている道を通りメローニョに向かった。メローニョはセルヴォニによって占領され、要塞と化した。
アルジャントーは各部隊にボルミダ西の山岳地帯に集まるように命令した。
そして、右翼のコッリに自身が撤退したことを伝える伝令を派遣したが、ピジョンによって捕らえられた。
ピエモンテ・オーストリア軍の右翼と中央・左翼を結ぶ連絡線は寸断された。
オーストリア軍中央を指揮するアルジャントーの敗北はボルミダまで撤退し、コッリとの連絡を遮断されたこの時に決まったと言っても過言ではないだろう。
そして、アルジャントーの敗北はロアノの戦いの趨勢をも決したのである。