セーブル磁器の使い方と楽しみ方
※画像はイメージです
本記事では「幻」と言われるセーブル磁器の使い方、楽しみ方を紹介しています。
芸術的に完成度の高いセーブル磁器にはセーブル磁器ならではの使い方があり楽しみ方があります。
セーブル磁器に興味がある方や使い方が分からない方、セーブル磁器のどこが魅力的なの?と思っている方はぜひご覧ください。
セーブル磁器の使い方①:「特別な日」や「特別な人」のために使う
食器は日常生活で欠かせないものですが、セーブル磁器を普段使いにしようと思いますでしょうか?
もちろん、そういう方もいると思いますが、多くの人は日常生活では使わないと思います。
セーブル磁器は「特別な日」や「特別な人」のために使いましょう。
「自分へのご褒美」でもいいと思います。
例えば家族にとっての特別な日にセーブル磁器を使用すれば、家族は一目で特別な日だと思ってくれるでしょう。
特別な日にセーブル磁器が使われるということを家族が知れば、セーブル磁器を出されたときに自分のことを特別に思ってくれていると感じ、幸せな気持ちになると思います。
そして、特別な人が来たときにセーブル磁器でもてなせば、もてなされた人がセーブル磁器を見た時に、あなたの家の格を心の中で上げてくれる助けになるでしょう。
セーブル磁器の使い方②:家族やお客様に見せるために飾る
友達や親戚などのお客様があなたの家に来たときにガラスの食器棚やキャビネットにセーブル磁器がきれいに飾られていたら、その人たちはどう思うでしょうか?
知っている人や興味のある人は話題として聞いてくるでしょうし、知らなくてもセーブル磁器の美しさは見ていて楽しいものです。
そしてあなたや家族も美しいセーブル磁器を見て癒されるでしょう。
芸術はあなたや家族の心にゆとりを与えてくれます。
そして飾っているだけで、部屋に彩りと高級感を演出する手助けをしてくれるでしょう。
セーブル磁器の楽しみ方①:あなた好みの色やデザインを探して楽しむ
マリー・アントワネットやポンパドゥール夫人、そしてナポレオンがオーダーしたものはすべて自身がテーマを決めた1点物であり、特別な人がオーダーをして購入することができるものです。
そのため、代表的なセーブル磁器のデザインとは異なるものになります。
セーブルでは数千種類にも及ぶ色を表現できますが、セーブル磁器の代表的な色といえば様々な種類の「青」と「金彩」です。
青は「ブリュ・ド・ロワ(王家の青)」、「クラウデッド・ブルー(雲上の青)」、「アガサ・ブルー(瑪瑙の青)」、「ブルー・セレスト(空の青)」などが有名で、それらが金彩で彩られます。
化学者ジャン・エローが「ブリュ・ド・ロワ(王家の青)」を発明してから、セーブル製陶所と言えば「青色」が素晴らしいことで有名となりました。
その深みのある落ち着いた濃紺色は「王家」の色であり、当時のフランスでは最も高貴な色だったことから貴族達の間で人気だったと言われています。
◎17世紀~1790年頃までの王家の旗
※王冠の下の濃紺色の盾の色が王家の色。金色の小さな紋様はフランス王家を表すフルール・ド・リス(アヤメの花)です。
もしかしたらクラウデッド・ブルーは両脇の天使が纏っている青い布を表現しているのかもしれません。
出典:Wikipedia
青以外の色で有名なのは「ローズ・ポンパドゥール(ポンパドゥールの薔薇色)」、「ピー・グリーン(エンドウ豆の緑)」、「ジョンキーユ(黄水仙)」などです。
セーブル磁器も様々で、華美なものから落ち着いた色合いやシンプルなものまであります。
様々な色の中からあなた好みの色やあなたの部屋に合った色を探し出し、お客様が来た時にもてなしたり、飾ったりして特別感を演出してみてはいかがでしょうか。
もてなす方の反応をみるのも楽しいかもしれません。
1、ブリュ・ド・ロワ(王家の青)
近年では「ファット・ブルー(濃紺)」と呼ばれる色で、ポンパドゥール夫人が推薦した化学者ジャン・エローによって発明されました。
セーブル・ブルーの中でも特に代表的な色です。
◎コーヒーカップとソーサーのセット(ブリュ・ド・ロワ)
2、クラウデッド・ブルー(雲上の青)
セーブル・ブルーを専門の職人が擦ることにより深みのある雲状のぼかしを表現した色です。
青色が薄い部分と濃い部分のコントラストが美しく、奥行きがあるように見えます。
セーブル・ブルーの中でも人気のある色彩です。
◎コーヒーカップとソーサーのセット(クラウデッド・ブルー)
3、アガサ・ブルー(瑪瑙の青)
淡い水色をした瑪瑙のような青色です。
これもセーブルを代表する青色の一つです。
アガサ・ブルーはなかなか手に入りにくいので、見つけて気に入った時が買い時です。
◎コーヒーカップとソーサーのセット(アガサ・ブルー)
4、ブルー・セレスト(空の青)
ブルー・セレストは、セーブル製陶所を王立としたルイ15世が最初に注文した食器セットのために考案された青色と言われています。
当時は軟質磁器でしか表現できない色だったため、高品質な軟質磁器を作れる王立セーブル製陶所でしか製作することができませんでした。
※1776年頃に製作されたと考えられるセーブル磁器(ブルー・セレスト)
5、ローズ・ポンパドゥール(ポンパドゥールの薔薇色)
セーブル製陶所に黄金期を到来させ、フランス芸術に大きな影響をもたらしたポンパドゥール夫人が好んだ色です。
そのため「ローズ・ポンパドゥール(ポンパドゥールの薔薇色)」と呼ばれています。
ですがポンパドゥール夫人が任命した化学者エローの死とともに失われてしましました。
※1760年5月30日にポンパドゥール夫人に届けられたポプリ(匂い袋)入れ。
これらの色に加えて金彩が施されているものが多く、その美しさには目を奪われてしまいます。
セーブル磁器の楽しみ方②:あなたのお気に入りを集めて楽しむ
セーブル磁器の生産は年間約6000ピースに限定されて製作されています。
食器類に限ればおよそ2000ピースほどしか製作されていません。
ほとんどがフランスの国家としてのオフィシャルギフトとして製作され、一般には流通しない為「幻の窯」と呼ばれています。
そのためセーブル磁器は入手が難しく、一点物として流通することが多いです。
セットを手に入れることができれば幸運でしょう。
◎カップとソーサーのセット品
セットだと一体感が出るため、見栄えがとてもいいのです。
ですが、一点物は一点物としての楽しみ方があります。
あなたの食器棚やキャビネットを彩るピースを1つ1つ当てはめて、あなたのオリジナルを作っていくという楽しみ方です。
時間をかけて1つ1つ集めていくのです。
「あの場所に飾るのはどんなものがいいか」、「あの棚はどんなテーマにしよう」と考えながら選び抜いていくのも楽しいと思います。
セーブル磁器の楽しみ方③:歴史的背景を知って楽しむ
ルイ15世の時代から始まり、ポンパドゥール夫人が発展させ、その後をデュ・バリー夫人や王妃マリー・アントワネットなどが支援し、フランス革命により操業停止に追い込まれ特権を失いましたが、国際的にも認められる技術と芸術性のためにナポレオン執政政府が国立化して再建しました。
セーブル製陶所は倒産や操業停止の危機に合いながらもナポレオンが第一統領になって以降、国立として技術と伝統を継承し積み重ねているのです。
その歴史はセーブル磁器というブランドを形成している根幹の1つです。
セーブル磁器は様々な偉人や有名人の人生と密接に関わっているため、多くのエピソードがありますし、それらのエピソードがセーブル磁器そのものに奥深さを与えています。
お客様に聞かれた時、教養としてセーブル磁器の歴史を知っておくとセーブル磁器をより素晴しいものとして知ってもらうことができると思います。
幻と呼ばれるセーブル磁器や製陶所について詳しく知りたい方、中世ヨーロッパや洋食器に興味のある方はぜひご覧ください。
セーブル磁器の楽しみ方④:セーブル磁器の技術や芸術性の根幹を知って楽しむ
セーブル磁器を製作するためのプロセスは40以上あり、そのすべてが手造りです。
専門の職人の手によって伝統的な手法で1つ1つ製作されています。
セーブルの職人達は、1対1で3年間、専門の職人から学んだ上で、数百年積み上げられた製作データに基づいて製作しているため、その仕上がりは正確です。
焼成前と焼成後の千種類以上にもおよぶ釉薬の色見本があり、釉薬の配合表も保管されています。
もしかしたら1766年2月15日に化学者エローが亡くなったことにより「ローズ・ポンパドゥール(ポンパドゥールの薔薇色)」が失われてしまったことを教訓としているのかもしれません。
そして現在では特別な芸術家や陶芸家などがセーブル製陶所で作品を製作することもあり、セーブル製陶所は彼らのデータを蓄積し、今もその技術と芸術性を高めています。
セーブル磁器にはセーブル磁器の使い方があり、楽しみ方があります。
あなた独自の楽しみ方を見つけてみるのもいいと思います。
あなたの部屋をセーブル磁器で彩ってみてはいかがでしょうか。
最後に
一流の芸術家と一流の職人が協同で1つの作品を作り上げているためセーブル磁器の芸術としての完成度は高く、年間約6000ピースしか作られない希少性も相まって、陶磁器のコレクターから非常に人気の高いブランドです。
あなたが気に入ったセーブル磁器と出会えたとしても、その時を逃したら次はもう会えないかもしれません。
人との出会いもそうですが、一期一会です。
セーブル磁器との出会いも大切にできたらいいと思います。