ナポレオンが愛読した小説 

ナポレオンは小説を読むのが大好きであり、ナポレオンの移動図書館には常に100冊以上の小説が入れられていたと言われています。

中でもナポレオンは「悲恋小説」と「悪漢小説」がお気に入りでした。

ゲーテ「若きウェルテルの悩み」(Die Leiden des jungen Werthers)

ナポレオンが好きな小説として最も有名なものはゲーテの「若きウェルテルの悩み」です。

出版当時、精神的インフルエンザの病原体と呼ばれるほどヨーロッパで多くの自殺者を出したことにより、ゲーテの悪名はヨーロッパ中に轟きました。

ナポレオンは「若きウェルテルの悩み」をエジプト遠征にも携行して行き、何度も読み返しました。

ナポレオンが恋愛小説を読んでるという意外性からか、ナポレオンを知る人の間では有名な悲恋小説です。

若きウェルテルの悩み (新潮文庫)

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アラン=ルネ・ルサージュ「ジル・ブラース物語(L'Histoire de Gil Blas de Santilane)」

15歳のナポレオンがブリエンヌ軍事学校を卒業して高等士官学校に入学するためにパリに到着し真っ先に行ったことは、アラン=ルネ・ルサージュの「ジル・ブラース物語」を購入することだったと言われるほど手に入れることを待ち望んでいた小説です。

恐らく、ブリエンヌですでに読んでおり、パリでそれを購入したのだと考えられます。

「ジル・ブラース物語」は悪党がヒーローのように描かれる悪漢小説(ピカレスク小説)です。

少年ナポレオンも思春期の例に漏れず、ダークヒーロー物が好きだったようです。

ジル・ブラース物語 1 (岩波文庫)

ジル・ブラース物語 2 (岩波文庫)

ジル・ブラース物語 3 (岩波文庫)

ジル・ブラース物語 4 (岩波文庫)

ベルナルダン・ド・サン・ピエール「ポールとヴィルジニー(Paul et Virginie)」

ナポレオンがオーソンヌにいた頃に出版され、全ヨーロッパでヒットした小説です。

セントヘレナ島にも持って行ったお気に入りの小説であり、何度も読み返したと言われています。

ナポレオンが大好きだったもう1つの悲恋小説です。

ポールとヴィルジニー (光文社古典新訳文庫)

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ヘンリー・フィールディング「ジョナサン・ワイルド伝」

ナポレオンは後にイギリス小説の父と呼ばれるヘンリー・フィールディングの傑作を高く評価していたと言われています。

「ジョナサン・ワイルド伝」は盗品を買い取り販売していた実在の人物ジョナサン・ワイルドを主人公としてその半生を描いています。

快盗一代記―ジョナサン・ワイルド (世界文学叢書)

※1949年出版の世界文学叢書版です。プレミアが付いているように見えますが、もっとお手頃な価格で購入できるところもあります。

ヘンリー・フィールディング「トム・ジョウンズ」

「トム・ジョウンズ」は悪漢小説寄りの作品であり、出版当初、「ろくでなし、淫行、姦淫の雑多な物語」、「扇動的で下品」などと批判にさらされますが、後に評価されフィールディングの代表作となりました。

その生涯を通してナポレオンの悪漢小説好きが垣間見れます。

トム・ジョウンズ(上) Kindle

トム・ジョウンズ(下) Kindle

トム・ジョウンズ〈1〉 (岩波文庫)

トム・ジョウンズ〈2〉 (岩波文庫)

トム・ジョウンズ〈3〉 (岩波文庫)

トム・ジョウンズ〈4〉 (岩波文庫)